平和と友好、中日関係の原點と未來

中國でもっとも知られている僧侶は二人いる。一人は唐初期、インドに渡り、仏教教典を持ち帰った玄奘で、もう一人は約1300年前、海を渡って、戒律制度を日本に伝えた鑑真和上だ。二人とも仏教文化の発展に大きく寄與しただけではなく、中印、中日の平和交流の先駆けとしても挙げられる。私は大學卒業後、船會社に就職し、「新鑑真」という中日國際フェリーで乗組員をしている。なぜ船名は「鑑真」なのか、それは最初に抱いた疑問だった。船のロビーに飾ってある掛け軸に衣を著、數珠を手に持った盲目の法師一人が描かれ、橫に鑑真の生い立ちも書いてある。唐の時代、鑑真が日本の留學僧栄叡の招きを受けて日本東渡を決意した。その後の12年間、5回も失敗を繰り返したのだった。そのうえ國禁まで犯し、愛弟子栄叡を失い、さらに両目も失明した。6度目の渡航の西暦紀元753年にようやく日本にたどり著き、日本で余生を盡くして円寂した。汽船のない時代、海を渡ることは如何に困難だったか、私には想像もつかない。荒い東海、危ない暗礁、悪い天候、思いがけない病気…そんな艱難辛苦に屈せずに思いを遂げた精神力の強さに心を揺さぶられた。普通の人なら、早々に諦めてしまうだろう。もちろん「果たして日本に渡ることは間違いなのか、果たして仏の意は西に向かうことで、東の日本へ向かうことではないのか」と彷徨う時期は鑑真にもあったと思う。ただ、「長明燈は常在不滅」という言葉を鑑真は信じていた。目が暗くなっても心に信念の光が消えることはない。それは日本の栄叡から託された願いか、それとも仏教こそ人々を救えるという発想か、いずれにしても鑑真は自らの命など一度も顧みなかった。無私の大義だ。現代人はその「義」を無くしつつあると私はそう思わずにはいられない。自己中心的、利益を最優先するという考え方がある限り、人々は絶えず競爭の渦に巻き込まれていて安息の日もやって來ないし、中日関係も改善できないだろう。

日本の奈良で鑑真は東大寺大仏殿に戒壇を築き、日本仏教に戒律制度を定著させ、唐招提寺の建立にも力を盡くした。仏教以外にも薬草、印刷、書道、彫刻など唐の最新文化、技術を日本にもたらした。文明の進歩に対する平和交流の重要性はこの歴史的出來事からでも見出せるだろう。今や國際交流は未曾有の規模と速度で進み、さらに他國の長所を見つけ相互に學び合うことは最も大切ではないか。中國と日本は「一衣帯水」の隣國同士、長い交流の途中、友好的な往來もあれば、戦爭による苦痛な思いもして來た。日本は近代において中國を侵略したことは事実だ、正義感と理性のある日本人なら、誰もが認めるだろう。しかし、昔のような弱肉強食の対外政策はもはや現在や將來に通用しないと思う。共通認識の得られない問題、例えば歴史に対して両國の食い違いはなるべく激化しないように保留し、もっと大同を求め、大局に重點を置くべきだ。世界経済が益々一體化していく中、平和は両國に利益をもたらし、爭いは損失をもたらすということはすでに人類共通の認識となっている。中日交流の一番盛んだった唐時代に目をやると、鑑真和上の功績は最も輝く存在だ。今中日が直面している難題を解く鍵は鑑真精神にあるのではないか。

「新鑑真」フェリーでの仕事は常に鑑真のことを思い起こせる。船のブリッジの仏壇で鑑真の坐像が置かれている。年明けになると、船長から線香をあげて新しい1年の交通安全を祈り、日本に著けば唐招提寺に詣でるという慣例もできている。毎年、日中友好という志のある日本の學生の団體が研修で乗船する。名は「鑑真プロジェクト」だ。鑑真和上は中日共通の熟知され敬愛されている人物だと実感するのだ。そこで、政治的なスローガンよりは、中日両國國民の共有している文化的なものを生かしてソフトパワーで中日関係の改善に繋げるのは如何なものか。特に中日の若者同士に生身で付き合う機會を作れば、そこから友情も生まれる。そして、彼らが実際に見聞したことをその周囲に伝えていくならば相互理解の輪も広げていくに違いない。身近な例を挙げると、船の常連でもある張宇さんは「奔流中國」という旅行企畫を立て、日本の若者を対象に中國の內モンゴルの大草原で実際の遊牧民族の生活を體験させ、知られていない中國野生の一面を感じさせる。私の故郷洛陽の外國語高等學校は毎年船を利用して何十名もの中國留學生を岡山外國語學院に送っている。洛陽と岡山市は友好都市だそうだ。

中日友好の根底には鑑真の不屈の精神、博愛と平和の思想が宿っている。これは中日関係の原點だが、その思いは1300年後の未來――現代へも屆いている。私は自分の仕事を通じて鑑真精神を引き継ぎ、中日友好に努力して參りたい。

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